固定費調整

全部原価計算と直接原価計算とでは最終的な営業利益に差が生じてしまうことは、これまでの例題でわかったことと思います。

その差を調整するために行なうのが、固定費調整というものです。
固定費調整では直接原価計算の最後にこの調整を行い、全部原価計算の営業利益に数値をあわせます。

ここで覚えておきたいルールがあります。それは
期首製品、仕掛品に含まれる固定費原価は減算
期末  〃              加算

です。
減算は利益から減算です。ということはコストになるということでもあります。
これは直接原価計算では期首分の製品を販売しても原価には前期に製造した時の固定費は含まれません。固定費はあくまでも当期の分だけを計上します。ということは期首の固定費を原価に含めない分、直接原価計算では全部原価計算よりも原価が少ないのですから、利益は多くなります。その分、減算をして調整するわけです。

この仕組みが分かっていれば、上のルールはことさら暗記する必要はないかもしれません。

では直接原価計算(1)で使った例題で固定費を調整してみましょう。
例:
製品データ
月初120kg(原価¥126,650 うち変動費¥92,550) 当月完成850kg 月末150kg
製品の庫出は先入先出法による。
製品の販売単価は@¥2,000である。

生産データ
月初90kg(0.5) 当月880kg 完成850kg 月末120kg(0.3)

原価データ
月初材料費¥41,440
当月材料費¥396,880 変動加工費¥311,800 固定加工費¥220,100
原価の配分は先入先出法による。材料費は全て変動費であり、始点で投入している。
なお加工費は変動費と固定費をそれぞれの配賦率で予定配賦している。配賦基準は製品年間生産量10,000kgであり、変動加工費の年間予算額は¥3,600,000、固定加工費は¥2,500,000である。

販売費及び一般管理費
変動販売費 @¥150
固定販売費 ¥250,000
一般管理費(全て固定費)¥144,000

答え

直接原価計算の営業利益 232,910
加算項目
期末製品の固定費原価 37,500
期末仕掛品の固定費原価 9,000

減算項目
期首製品の固定費原価 34,100
期首仕掛品の固定費原価 11,250
全部原価計算の営業利益 234,060

37,500=150×250
9,000=36×250
34,100=126,650-92,550
11,250=45×250
どうですか。ちゃんと一致しましたね。
なんか不思議な気分ですが、こういう数字がぴたりと一致したときの快感も簿記の醍醐味の1つではないでしょうか。